
師走の永田町がキナ臭くなってきた。先週末、
田村耕太郎参院議員(46)=鳥取選挙区=が
自民党を離党したが、
民主党の
小沢一郎幹事長の影がチラついているのだ。参院で単独過半数に足りないため、
民主党は米軍
普天間飛行場の
移設問題などで
社民党に振り回されている。剛腕
幹事長は、参院
自民党を切り崩すことで、政界再編を狙っているのか。
「田村氏が離党したのは、
西松建設事件で小沢氏の公設第1秘書が
初公判を迎えた18日。田村氏の離党会見と裁判開始の時間もほぼ同じ。これは偶然の一致ではない。事前に周到に
打ち合わせされたものだろう」
小沢戦略に
詳しい自民党ベテラン秘書はこう分析する。確かに、翌19日の新聞各紙は、社会面こそ西松事件がトップ級だったが、政治面では田村氏離党をめぐる記事もそこそこの扱いで掲載された。
田村氏は離党会見で「時代が大転換しているのに
自民党は変わろうとしていない。理想とあまりに懸け離れている」と
自民党を強烈に批判。当面は無所属で活動するとしたが、
民主党など他党への移籍についても「あらゆる可能性の中で、一番良い選択肢を選んでいきたい」と含みを残した。
民主党は来年夏の
参院選・鳥取選挙区に、
自民党の故・坂野重信元自治相の孫で医師の坂野真理氏(32)を擁立する。「保守票の分裂」と「若くて有能な女性候補擁立」。今年夏の
総選挙で、いわゆる「小沢レディース」が
自民党大物らを次々と撃破したときの構図を彷彿させるのだ。前出のベテラン秘書はいう。
「坂野重信氏は鳥取選出。小沢氏と同じ旧田中派で、参院議員会長まで務めた。そんな大物の孫娘を担ぎ出されては、田村氏の再選は簡単ではない。『孫子の兵法』に精通する小沢氏にとって、こうした戦況は相手陣営を切り崩す絶好の
チャンス。仮に、『
初公判日の離党』という踏み絵を踏ませたとすれば、今後、何らかの候補者調整があるはず。田村氏は
民主党比例から出馬するのではないか」
実際、
総選挙直後から、小沢氏による「参院
自民党の切り崩し」は指摘されていた。複数の
自民党参院議員が小沢氏側からの接触を認めているうえ、
自民党を支援してきた組織団体への懐柔工作も続けられている。
16日、小沢氏が
鳩山由紀夫首相に提出した党の「重点要望」でも、日本医師会など、
自民党支持を撤回した団体の要望は優遇され、全国土地改良事業団体連合会など、
自民党支持を続ける団体は冷遇された。
民主党は、衆院こそ絶対安定多数(269議席)を上回る307議席確保しているが、参院では114議席(江田五月参院議長を除く)しかなく、過半数の121議席に7議席足りない。このため、
社民党(参院5議席)と国民新党(同5議席)との連立政権を組まざるを得ない状況に置かれている。
ただ、連立政権はリスクを伴う。
特に、かつて「非武装中立」を掲げ、現在も党理念に「日米安保は平和友好条約に転換させ、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進める」と記している
社民党との連立は、首相に
普天間問題での決断を鈍らせ、わが国の安全保障の基盤といえる日米同盟を危うくさせている。
首相は当初、COP15(国連
気候変動枠組み条約第15回締約国会議)首脳級会合が開かれたコペンハーゲンで、
オバマ米大統領と首脳会談を行う方向で調整していたが、拒否された。
田村氏が「わが国の外交安保を守る」との理由で
民主党もしくは会派に入れば、
民主党(参院115議席)と国民新党(同5議席)、新党日本(同1議席)を合わせて参院121議席となり、
社民党抜きでも参院過半数に達することになる。
社民党にあまり気遣いせずに、政治的判断を下せるようになるわけだ。
政治評論家の小林吉弥氏は「小沢氏は、
社民党支持票を『堅い』と見て、重視している。
参院選まで3党連立を崩す気はないだろう。ただ、
民主党の参院単独過半数に向け、水面下では着々と切り崩しを進めている。
社民党抜きで過半数となれば、
参院選で掲げる連立の選挙公約も
民主党主導で決められる。田村氏は来年の通常国会直前か、
西松建設事件での公設秘書の判決が出る3月前には
民主党入党するだろう」と語る。
自民党内では現在、複数の「離党予備軍」の存在がささやかれている。今後、駆け引きが激化しそうだ。